エチオピアのモカ3種
雑誌ブルータスに「コーヒー&カフェ」の特集記事が掲載されている。その内容は単に紅茶や日本茶に対比する飲み物としてではなく、ワインブームが一つの大きな山を越えてグルメな人たちに認知されたように、コーヒーが同じような価値観で見直され始めたようだ。例えば、ワインで使われる≪テロワールの重要性≫とは「気候、地形、地質、土壌などの複合的地域性が生み出す重要性」のことだが、コーヒー豆が持ちえる基本資質もワイ同様にテロワールの重要性が問われたりするのだ。
そこで、もう一度基本に戻って私もコーヒー香味を極めてみようと思い始めた。
毎日20種類ちかくの銘柄を3-4種類以上のローストレベルで焙煎はしているが、煎りあがった豆の香味チェックをすることはない。煎り方に間違いが無ければ、出来上がりの作られた香味には自信があるからだ。
しかし、いま私の店で取り扱っている同じエチオピア産のモカ3種類は、栽培地域がシダモ地区、ハラー地区、イルガチェフ地区とそれぞれ異なり、精選処理も水洗処理と非水洗処理の違いがあるが、香味にはどんな違いがあるかと問われると的確には答えられない。
それならばと、今日はモカ3種類をテースティングした。
水洗式処理の「イルガチェフ・ロイヤル」と「モカシダモ・グレート2」
それと非水洗処理の自然乾燥豆「ブルーホース・ハラー」
ワインに例えれば、水洗処理は白ワインで、自然乾燥処理は赤ワインとなって違いが現れるはずだ。
まずは煎った豆を粉に挽いたときのドライ香だが、3銘柄でそれぞれが特徴的な顔を見せてくれた。まとわり付くような強く甘い香りを感じさせてくれたのが「イリガチェフ」 次に甘い香りは「ブルーホース・ハラー」で、「モカシダモ」はアフリカの大地の香りに甘さが押さえられていたようだ。
次に、お湯を注してクラスト香を調べる。最初のドライで感じた甘い芋香から一転して干草香に変わり、強さでは「イリガチェフ」「ブルホース」「シダモ」とドライ香の順番と同じだった。
今度はお湯を注して一分後に、かき混ぜてのブレイク香だ。
この強さと香りは、どれも今度は似通っていた。ここまでがアロマ評価だ。
そして、いよいよカッピングの開始。テースティング用のスプーンで液をすくい、思いっきり空気と共に吸い込んで噴霧上にして、液を吐き出す。
口に含んだ質感、それと酸の質、甘さ、フレーバーは「イリガチェフ」が一番で、次に続くのが「ブルーホース・ハラー」で、最後が「モカシダモ」の順だ。コーヒー液が温度を下げるに従って感じられる香味も変化して、「イリガチェフ」は際立ったピュアーな甘味と酸味を、「ブルホース・ハラー」はバランスの取れた中で苦味を、そして「シダモ」は若干ながら渋みを残したが飲みやすいコーヒーに落ち着いた。しかし、微力なためなのか、白ワインと赤ワインの差は感じられなかった。
テースティング力を養うには、このような経験を積み重ねることが一番だ。銘柄の香味を記憶させ、データーを蓄積して初めて比較が可能となる。ただ気をつけなければならないことは、言葉の表現に溺れることなく、消費者と同じ目線で感じられたことを伝えていくことが大切なように思われる。
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